大判例

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大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)290号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三、被告井上の責任

被告井上が事故車を所有していること、本件事故当時は事故車の修理を被告会社に依頼し、訴外小林が修理を終えて事故車を被告井上へ引渡すため運転中であつたことは被告井上において自認するところである。<証拠>によると、被告会社では事故車の車検をするために得意先でもある被告井上から預つたものであることが認められる。車検の場合も含くめて自動車の修理契約は寄託と請負の混合した契約であり、修理完成後特約がなければ自動車の返還は民法六六四条の規定から保管場所においてなすべきである。ところが実際は修理業者において、車輛の修理完成後顧客に対するサービスとして注文者方まで、引渡しのため運転していく場合が多く、本件の場合においても、特約についての立証もなく単にサービスとして被告会社が行つたものと推認しうる。従つて訴外小林は被告会社のためであると同時に、注文者である被告井上の利益のためにも運転していたのであり、すでに被告井上は運行支配しうる関係にあり、かつ右小林を通じて間接的に運行支配していたといえる。なぜならば被告井上は被告会社に対して、事故車を自ら引取りに赴くことを明示することもできるし、事故車の修理完成後、被告会社のサービスとしての引渡を受容し、場合によれば引渡先を指図することも可能であろう。さすれば、本件において、被告井上が右サービスを受容しない特段の事情があれば格別、そうでなければ事故車の運行供用者としての責任は免れないというべきである。

(これはレンタカーの場合のドライブ・クラブの責任と部分的に近似しているといえる。)

従つて被告井上は自賠法三条により本件事故から生じた原告の人身損害に対して賠償する責任がある。 (藤本清)

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